ネット銀行大手の楽天銀行。
普通預金でも年率0.1%と預金利率が高く、ポイント還元も優れているため楽天カードとセットで口座を持っている人も多いですよね。
とはいえいくら高いといっても0.1%の金利で資産を増やすのは現実的に難しいです。
必然的により高利回りな外貨預金に関心がいきますよね。
ただ外貨預金で気を付けたいのは、大々的にアピールされている表面利回りと、手数料を差し引いた実質利回りに違いがあるところ。
このギャップに気がつかず、期待して申し込んだのにいざ満期を迎えて通帳を見てガッカリ…なんてこともよくあるそうです。
そこで今回は外貨定期預金に関心がある人のために、実際に複数の通貨で運用した場合、どれくらいのリターンが期待できるのか検証してみました。
Contents
豪ドル建て外貨預金を検証!金利や手数料は?
外貨預金の中でも人気なのは米ドル・豪ドルなどメジャーな通貨。
中でも豪ドルは高利回りな資源国通貨の代表として、個人年金保険などでも運用している人が多いですよね。
なるべく高利回りを狙いたいけど新興国通貨に手を出すのは怖いな…という人にも安心感があるようです。
実際の金利を表で確認してみましょう。
定期預金といっても楽天銀行の場合、最短7日間の超短期ものや1,000円以内の金額で申し込めるなど、初心者でも気軽に試しやすいのが特徴です。
また預入期間が短い契約ほど高い利回りが設定されていて、例えば7日間の契約なら年率換算18%と非常に魅力的な数字となっています。
オーストラリアの政策金利0.25%からは考えられないほど大判振る舞いですよね(2020年4月20日現在)。
外貨預金にかかるコストは何がある?
ふだん私たちが銀行にお金を預けている分には運用コストを意識することってありませんよね。
ところが外貨預金のように他国の通貨で運用する場合、次の①・④のタイミングで為替手数料というコストが発生します。
①日本円を外貨に交換する。←手数料発生
②外貨で運用する。
③運用益に対する課税処理。
④外貨(元本)+運用益を日本円に戻す。←手数料発生
⑤為替差益・差損に対する課税処理。
実際の手続きでは手数料として支払うわけではありませんが、米ドルの例でみると預ける時と払い戻す時のレートがそれぞれ違いますよね。
この差額が銀行に支払う手数料を表しています。
ちなみに楽天銀行の場合、豪ドルの為替手数料は1豪ドルあたり片道45銭、往復で90銭となっています。
一般的な銀行と比較すれば十分格安ですが、ネット銀行の中では普通くらいのコストです。
銀行によって高い預金金利をつける一方で手数料も高額なところもあれば、反対に手数料が低いぶん金利も低く設定されているなど複雑で悩ましいところです。
ともかく外貨預金を申し込む際は表面的な利回りだけでなく、実質利回りを意識することが大切です。
豪ドル建て外貨預金①:年率金利24%の7日ものをシミュレーション。
さっそく外貨預金を検証してみたいのですが、先日楽天銀行から豪ドル建て優遇金利のDMが届きました。
なんと金利は24%!
もちろん預入期間は7日間なので100万円が124万円になる。。。なんてことはありませんがかなり魅力的ですよね。
仮に100万円を預けたとして7日後どれくらい資産が増えるのかシミュレーションしてみましょう。
【運用条件】
・預入金額:100万円
・預入期間:7日間
・預金利回り:24%(年率換算)
・為替レート:1豪ドル=68円(2020年4月24日現在)
・為替手数料:1豪ドルあたり片道45銭
※預入期間中の為替変動はないものとする。
今回のシミュレーションでは為替レート(中値)が68円なので実際の取引レートは次のようになります。
TTS | TTM(中値) | TTB | |
取引レート | 68.45円 | 68円 | 67.55円 |
日本円を外貨に替える際はTTSというレートを採用し、逆に外貨を日本円に戻す際はTTBというレートで取引が行われます。
このTTSとTTBとの差額が一般にいう為替手数料を指しています。
シミュレーション結果は次のようになります。
・預入時:1,000,000円→14,609.20豪ドル
・7日間の利息:67.24豪ドル(税引き後53.79豪ドル)
・満期時の元利合計:14,662.99豪ドル
・払戻し時円換算額:990,485円
⇒実質利回り(年率):-49.61%
あれっ、なんか目減りしてません??
たった7日間預けただけで1万円近くもマイナスになってしまいました。
なんと実質年率に換算するとおよそ-50%の大赤字です。
このように超短期もの外貨定期預金では高利回りを謳っていても、手数料が預金利息を上回り、為替が不利に動かなくても運用損が出るケースが多々あります。
※ちなみに今回のケースでは運用期間中に豪ドルが65銭円安に動くとようやく15円のプラス収支になりました。
豪ドル/円は1日で1円以上変動することもありますが、初めから損する可能性が高い投資に手をだすことはオススメできません。
豪ドル建て外貨預金②:長期運用ならどれくらい利益を出せるのか?
さきほどのシミュレーションで短期間の外貨預金では手数料負けして損する可能性が高いことがわかりました。
それでは豪ドルで長期運用した場合はどうなるのでしょうか?
1年もの外貨定期預金で改めてシミュレーションしていきましょう。
【運用条件】
・預入金額:100万円
・預入期間:1年間
・預金利回り:1.2%(年率)
・為替レート:1豪ドル=68円(2020年4月24日現在)
・為替手数料:1豪ドルあたり片道45銭
※預入期間中の為替変動はないものとする。
7日ものと比べると1年定期では金利が1.2%と大きく下落しますが、まだまだ円預金より高水準を保っていますよね。
結果は次の通りです。
・預入時:1,000,000円→14,609.20豪ドル
・1年間の利息:175.31豪ドル(税引き後140.25豪ドル)
・満期時の元利合計:14,749.45豪ドル
・払戻し時円換算額:996,325円
⇒実質利回り(年率):-0.37%
やはり7日ものと同様、1年ものでも高金利に乗せられてうっかり預けてしまうと、資産が目減りしてしまう可能性が高いことがわかりました。
目減り率でいえばわずかに改善されているものの、外貨預金は長期運用であるほど為替変動の影響を受けるリスクが高まります。
比較的安全なイメージのある豪ドルですが、コロナウィルスが騒がれる以前の過去1年間だけでも、為替レートは10円以上も変動を見せています。
100万円を運用した場合、わずか1円の変動で約1万5,000円もの損益が出ますので、それだけで1%の金利が帳消しになるほどのインパクトがあります。
1年後の為替レートなんて誰にも予想できませんから、もはや預金というよりギャンブルですよね。
さらに高金利!新興国通貨での外貨定期預金はやるべきか?
ここまで豪ドル建て外貨預金で資産を増やすのは難しいとお伝えしてきましたが、ではさらに高金利の新興国通貨でも同じ結果になるのでしょうか?
気になったので最も高利回りの南アフリカランド/円でシミュレーションしてみました。
南アフリカランドの預金利息は7日間ものでなんと年率40%という驚異的な利回りが設定されれています。
サラ金も真っ青の高金利ですよね。
というのも南アフリカランドは政策金利自体5.25%とトップクラスの高金利を維持している人気通貨の1つです(2020年4月24日現在)。
試算条件は次の通りです。
【運用条件】
・預入金額:100万円
・預入期間:7日間
・預金利回り:40%(年率換算)
・為替レート:1南アフリカランド=5.7円(2020年4月24日現在)
・為替手数料:1南アフリカランドあたり片道30銭
※預入期間中の為替変動はないものとする。
今回のシミュレーションでは為替レート(中値)が5.7円なので実際の取引レートは次のようになります。
TTS | TTM(中値) | TTB | |
取引レート | 6.0 | 5.7 | 5.4 |
ご覧のように米ドルやユーロなどの主要通貨と比べると、南アフリカランドは非常に円に対して弱い通貨のため、わずかな資金で大量の通貨を手に入れることができます。
このあたりがどのように影響するのかも併せてみていきましょう。
・預入時:1,000,000円→166,666.67南アランド
・7日間の利息:1,278.54南アランド(税引き後1,022.83南アランド)
・満期時の元利合計:167,689.5南アランド
・払戻し時円換算額:905,523円
⇒実質利回り(年率):-492.63%
あれっ、もしかして計算間違えた….?
と一瞬焦りましたがそうでもなかったようです。
なんとわずか1週間の運用でおよそ10万円もの損失が出る計算に。。。
南アフリカランドの場合、1通貨あたりの手数料が片道30銭と一見お得に感じるかもしれませんが、実はあまりにも通貨が安いため、5.7円あたりの取引に手数料が0.6円と、手数料率10.5%ものコストがかかってしまうんです。
夢の高金利通貨のように思える新興国も、実際は単なる金融機関の収入源でしかありません。
絶対に手を出すのはやめておきましょう。
ちなみに今回のケースで利益を出すためには、1週間の預入期間中に為替レートが0.57円以上円安に動く必要があります。
しかし南アフリカランド/円はここ数年下落傾向にあるため、同程度の値動きはあってもむしろ損失が広がるリスクのほうが高く手数料分をカバーできる見込みはかなり低いです。
結論:外貨定期預金にはほとんど投資価値がない。
今回は例として楽天銀行の
- 豪ドル建て外貨定期預金【7日もの24%】
- 豪ドル建て外貨定期預金【1年物1.2%】
- 南アフリカランド建て外貨定期預金【7日間もの40%】
の3つの商品についてシミュレーションをしてみましたが、いずれも損失が出るという残念な事実がわかりました。
実際損失リスクについては楽天銀行自身も公式サイト内で次のように認めています。
円での預入れ・払い戻しには為替コストを含んだ当行所定の為替レートが適用されるため、為替相場の変動が無い場合でも元本割れとなる可能性があります。
為替商品なのでシミュレーションの結果がそのまま当てはまるわけではありませんが、はじめから5割以上の確率で元本割れがわかっている投資(しかもリターンが少ない)に手を出すのは決してオススメできません。
はっきりいってこれなら円預金をしていたほうがマシです。
外貨預金よりも効率的な資金投資をしよう。
ここまでやや辛口な評価をしましたが、より確実に効率投資を狙うなら選択肢は他にもあります。
例えば同じ楽天グループのサービスを挙げるなら、次のような投資はいかがでしょうか。
①iDeCo(確定拠出年金)で非課税投資(節税にも)
②楽天ふるさと納税でポイント還元×返礼品Get
どちらもやり方次第ではノーリスクな上、確実にメリットが受けられるのでおすすめですよ。
楽天証券のiDeCoで節税しながら効率投資
確定拠出年金(iDeCo)とは簡単に言えば積立投資の1つですが、原則60歳まで取り崩さないことを条件に3つのメリットが受けられる制度です。
・毎月の積立金が全額「所得控除」の対象になる。
・積立金の運用益が非課税
・積立金が一定額まで非課税
積立金は毎月5,000円〜68,000円(人による)で設定でき、全額が所得控除の対象になります。
わかりやすく例をあげると、年収400万円の会社員が毎月20,000円を積み立てた場合、年間36,000円の節税効果につながります。
個別の節税額は専用ページからシミュレーションできますので、興味のある方は試してみてください。
掛け金の運用方法は国内外の株式・債権など目標利回りによって組み合わせ自由で利益が出た分は非課税です。
元本割れが怖いという人には定期預金での運用も可能なのでご心配なく。
楽天ふるさと納税でポイント還元×返礼品Get
楽天ポイントを溜めている人ならふるさと納税も楽天から申し込むのが断然お得です。
やり方いつもの買い物と同じ手続きで簡単。
好きな自治体に寄付していくと、地域の特産品だけでなく楽天スーパーポイントももらえるので、賢く使えばお小遣い稼ぎにも。
さらにポイントでふるさと納税の支払いができるので実質節税にもつながります。
効率的なポイント還元のやり方もまとめてみたのでこちらの記事も併せてどうぞ。