節約・投資

会社員の生命保険は安心と同時にリスクも背負う諸刃の剣である。

みなさんが保険について真剣に考えるのはどんな時だろうか?

私は社会人になったばかりの頃、会社によく出入りしている保険外交員からこんなことを言われたことがある。

「社会人になったらこれからは自己責任なんだから、保険の1つでも入っておかないと」

 

その通りだ。

経済的な自立は社会人としての基本中の基本である。

健康管理も含め、これからの人生で起こり得る様々なリスクに備えなければならない。

しかし当時の私は薄給ながらヒゲ脱毛のローンに追われていたため、とても保険料にお金を回せる余裕などなかった。

将来の不安より、目の前のヒゲ退治に夢中だったのだ。

 

その後も営業職という仕事柄なのか社外の人と関わることも多く、保険営業には何度も遭ってきた。

統計によると30代の生命保険加入率は80%を超えるそうだ。

しかしながら30歳を過ぎてまだ、保険の必要性を感じたことがない。

もちろん私自身が独身だという面もあるが、「果たして保険があれば本当に安心なのか?」という疑問が拭えないでいる。

 

本記事では幾度となく生命保険の勧誘を受けてきた私が、なぜずっと無保険を貫いているのかをお伝えしていきたい。

偏見や知識不足については重々承知しているが、そもそも保険の要不要論に正解などはない

立場や個々人の状況によって必要性が大きく異なるからだ。

あくまで一個人の意見として参考程度に読んでほしい。

何となくで保険に入る時代はすでに終わっている。

自己のライフプランを見つめる際、保険は必ずといっていいほどついてくるものだ。

生きていれば誰だって病気になるかもしれないし、怪我をするかもしれないし、何歳まで働けて必要な収入が得られるかはわからない。

世界トップクラスの長寿国であることは誇らしいが、副産物として老後資金の枯渇・認知症・高齢ドライバーによる交通事故など新たなリスクも生じてしまった。

近年では地震や大雨など自然災害による被害も頻発している。

よほどの資産家でない限り、誰しもそれなりの不安やリスクを背負っているはずだ。

では圧倒的多数の一般人はどうすればいいのか。

民間保険の出番である。

…………..

…………

……..という話をみなさんテレビやネットのニュースで、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

1級FPの○○さんにお話を伺いました、的な記事はいくらでも出てきますよね。

第一線で活躍するFPはいわば家計戦略のプロフェッショナルに違いない。

ふむふむなるほど、私も保険を検討してみるか…..

 

と考えるのはちょっと待ってほしい。

なぜなら私も含め、FPが必ずしも中立的な立場で意見を述べているとは限らないからだ。

引用:日本FP協会

 

2018年現在、FP協会に加盟している有資格FPは約18万人。

図はその属性割合をしてしているが、保険会社はもちろん・証券会社・銀行など保険商品を取り扱う業種が大多数を占めているのは一目瞭然だ。

保険販売の手数料を主な収入源としているFP事務所も珍しくはない。

保険神話の崩壊だけは何としても回避しなくてはならないのだ。

 

とはいえ私も民間保険を全否定するつもりはない。

自動車保険には加入しているし、海外旅行に出かける時は旅行保険をかけるようにしている。

さすがに他人に迷惑をかけてしまった時、「お金がありません」では済まされないし、海外でトラブルに巻き込まれた時に全額自己負担は恐ろしい。

 

全てのリスクに対して保険で対処していてはお金がいくらあっても足りなくなる。

日本人はとにかく保険が好きだ。

その傾向は年齢が高くなるにつれ、強い傾向にあるように思える。

私は以前、仕事の上で中高年の方と関わることが多く、資産面の相談を受けることもよくあったが、生命保険の加入率はとにかく高い。

しかも1つや2つではなく、中には10件、20件と入っている強者も珍しくはない。

もはやどんな災害や病をも味方にしてしまう無敵状態である。

その証拠に交通量の多い2車線道路をまるで自分の庭であるかのように悠然と自転車で横断していく。

 

バブル経済時、人口ボーナスの助けもあり人々はどんどん豊かになった。

お金は銀行に預けておけば10年で2倍に増えたし、当時かけた保険は残っていれば2倍3倍の返戻金が期待できる。

貯金のつもりで保険に入る人も少なくはなかったはずだ。

昔の保険には絶大なる投資価値があったし、同時に安心も手に入れることができた。

 

今ではどうだろう。

人口増は頭打ちでむしろ減少の一途を辿っている。

新規加入者は少なく、かといって1人が何契約も高額な保険に入ることもない。

亡くなる人・医療費のかかる人が多く、保険料のまともな運用先も見当たらない。

昔とは前提がまるで違うのだ。

 

「何となく将来が不安だし、勧められたから入ってみた」は非常に危険だと思ったほうがいい。

保険選びは、居酒屋の「とりあえずビール」とは訳が違うのだ。

 

保険は入っても入らなくてもある程度リスクがある。

冒頭でも少し触れたが私は保険のセールスによく遭う。

向こうはきっと良かれと思って提案しているのだろうから、この「遭う」はもしかすると不適切かもしれないが、実際うんざりすることもある。

なぜなら保険営業のセールストークは時に精神攻撃に近いものがある。

「保険に入らない人は無責任だ、社会人としての自覚が足りない」とか、

「まだ独身だからいらないと思うかもしれないけど、もし病気や事故で寝たきりになったらご両親に迷惑がかかると思わないの?」

と良心に訴えてくる人も中にはいる。

まるで無保険だと社会の責任を果たしていないと言わんばかりだ。

 

でもちょっと待てよ、私が年金未納者ならまだ理解できるが民間保険など個人の自由だろう。

そっとしておいてほしい。

そもそも保険が本当に人生のリスク回避に有効な手段かさえ疑わしいと感じている。

それは実際に私が今まで多くの人の保険を見てきて、また私自身がプランを提案されて感じたことだ。

具体例をもとに話を進めてみたい。

 

私はギャンブラーかと問いかけたい。

どんな営業マンでも各々顧客リストは絶対持っている。

成約確度や資産状況に合わせてA・B・Cとランク分けされる不愉快極まりないリストだ。

定期的に保険を勧めてくるA氏のリストには私の名前も加えられているに違いない。

名誉なことである。

私は数年前までそれなりに稼ぎがあったので、今でも彼女が提案する保険商品はなかなかぶっ飛んでいる。

特定の企業を攻撃するつもりはないが一例をご紹介しよう。

最近紹介されたのは第一生命の「ジャスト ワイドパック」

3大疾病や死亡、病気・ケガなど様々なリスクから必要な備えを自由に組み合わせられるプランだ。

健康診断書を提出すれば割引が受けられるらしく流行りの商品だ。

 

そして実際に提案されたプラン内容がこちら。

保障内容

・【3大疾病/介護/身体障害】【死亡】・・・5,000万円

・上皮内がん、要介護1、糖尿病の合併症、障害4〜6級など・・・100万円

■リビングニーズ特約・・・余命6ヶ月以内の宣告で3,000万円まで前払い可能

■指定代理請求特約・・・本人に変わって代理人が保険請求できる(特別な場合)

■健康診断割引特約・・・一定の条件を満たす健康診断書があれば保険料割引

将来、自分にふりかかるかもしれない不幸に備えるタイプの保険である。

確かに保障は手厚いが、はたして独身の会社員が真っ先に検討すべきものなのか?

まず私には扶養すべき家族がいない。

私に何かあれば両親は悲しむかもしれないが、彼らは生活に困窮するわけではない。

それよりもまず長生きリスクに備え、年金に代わる老後の生活資金の用意を若いうちに始めておくべきではないだろうか。

なお気になる月々の保険料は私の年齢(31歳)で加入した場合、80歳まで一律に66,735円である。

ちなみに保険料は掛け捨てなので途中で解約しても一切返戻金はなしだ。

要するに自分が死ねば5,000万円もらえるギャンブルに毎月66,735円を支払って参加するようなものだ。

当たったとしても失うものが大きすぎる。

あなたなら乗りますか??

 

ちなみに昨年発売された宝くじ「サマージャンボミニ」は1口300円で1等賞金5,000万円。

宝くじ公式サイト

 

1等の当選確率は200万分の1なので、保険料を払ったつもりで同額の宝くじを買えば9,009分の1である。

上記を踏まえてこの1ヶ月間で、宝くじの当選と死亡(または3大疾病や介護状態)とならどちらがあなたの身に起こりそうですか?

私なら少なくとも今月、健康に生き延びる自信がある。

人は10年後とか20年後とか漠然とした未来の予測ができないから不安になる。

でも1年後、1ヶ月後の近い未来ならイメージできるだろう。

(年齢にもよるが)少なくとも朝起きて「あっ今日死ぬかも」という人はいないはずだ。

 

とはいえ私は宝くじを買うこともおすすめはしない。

理由は別記事で紹介しているのでこちらも参考にして欲しい。

【5年間で8,000枚買ったから言える】ロト6にハマると人生損する3つの理由女性に嫌われる男の趣味の王道といえばパチンコ・スロットをはじめとするギャンブル。 マッチングアプリで知り合った女性との会話でも、「...

 

保険が生活を圧迫しては本末転倒。

もしもの時の保険金は確かに生活の大きな支えになる。

守るべき家族がいる場合、収入が途絶えることに対する危機感は人一倍強いだろう。

とはいえある程度の保障に入るには、相応の支出が伴うことも忘れてはいけない。

「保険が家計を圧迫して貯金ができない」では本末転倒だ。

前述の通り、5,000万円の保障を得るために必要な保険料は毎月66,735円もかかる。

1年間で800,820円。

10年間で8,008,200円。

80歳で満期を迎えるまで49年間払い続けると総額は39,240,180円にもなる。

それまで支払った保険料は、言い換えれば保険に入らなければ貯金できていたであろう金額でもある。

しかも保険の性質上、実際に恩恵を受ける人よりも何事もなく満期を迎える人のほうが圧倒的に多い。

つまり安心のために入った保険が原因で、多くの人は老後貧乏に陥るリスクを高めてしまっているのだ。

保険といえば聞こえはいいが、相当ハイリスクなギャンブルに思えるのは私だけだろうか。

保険にお金をかけるなら少なくとも私は貯蓄に回すなり、投資するなり将来に資産を残せる形をとっていきたい。

 

 

今回はやや高額な保険商品を例に挙げたが、民間の保険会社の商品はシミュレーションしてみると、安心の対価としては割高感を拭えないものが多いと感じる。

あくまで独身で会社員というある程度保障された立場からの意見なので、自営業など立場が違えば保険に対する見方も変わるだろう。

ただ私の経験上、保険で損している人があまりも多い。

(まあ保険のお世話になった人は大多数が亡くなっているか、病院のベッドで寝たきりなので当然といえば当然だが…)

漠然とした不安から保険を選ぶのではなく、しっかりと数字を突き詰めて判断することが本当の意味で自分を守るためには不可欠だ。

その判断の際にこの記事が少しでも参考になれば幸いだ。