節約・投資

【会社員向け】公的保険があれば民間保険料を大幅に節約できる。

私が初めて月収100万円を手にした時のこと。

「ついに7桁月収かぁ…」と喜びを噛み締めるのも束の間、額面と実際の振込額とのギャップに愕然としたのを覚えている。

給与明細をみると、実に4分の1にあたる27万円が諸々の控除で差し引かれている。

実質的に月のうち1週間はタダ働きしていると言っても過言ではない。

しかも27万円といえば社会人1年目だった頃の給与をはるかに超える額ではないか。

納得いくはずもないが、もちろん拒否権はない。

なぜなら我々会社員は否応なしに給与から強制的に徴収されてしまうからだ。

ご存知の通り、会社員ができる節税手段はあまり多くないし、いくら不満を言っても仕方がない。

それならば支払いから逃れようとするのではなく、逆に制度を利用することに力を注ぎたい。

特に社会保険料に関しては不公平だとか不満に感じている人は多いものの、どんなメリットがあるのか十分に理解している人は少ない。

私は気になって調べてみることにした。

その結果わかったのは、実は日本の社会保険はそこそこ手厚いサポートが盛り込まれた制度であるということだった。

どんな時にどんな保障が受けられるのかを把握しておけば、病気やケガ・トラブルへの不安も軽減されるはずだ。

 

医療保険は貯金が100万円あれば必要ない。

日本の社会保険がテレビやネットで話題になる時、「高齢者の医療費がまた増加」「年金支給年齢の繰り下げを検討」など暗いニュースであることが多い。

そのせいか若い世代ほど社会保障に対する期待感は低い。

そして期待値の低さはそのまま関心や理解の低さにもつながっている。

中には健康保険に入っていれば医療費の窓口負担が3割で済む程度のメリットしか知らない人もいるのではないだろうか。

せっかく多額の保険料を支払っているのにもったいない。

会社員ならなおさらだ。

我々は漠然とした不安から民間の医療保険に手を出してしまいがちだが、実はすでに手厚い保障に守られている。

公的保障を理解すれば、きっと保険料の節約につながるはずだ。

 

保険会社のセールストークに惑わされない。

病気や死に対する不安は考え始めたらキリがない。

「今は2人に1人はガンになる時代です」

「先進医療を受けることになったら300万円も医療費が必要になるんですよ」

なんて言われたら不安はますます大きくなる一方だ。

でも何事も最悪のケースを想定することは大切だけど、安心の対価であるコストにも限りがある。

必ず起こるとも限らない不幸に対する備えのために、今の生活が保険料で圧迫されては本末転倒だ。

ましてや保険で手に入る安心はあくまでお金であって、病気や事故の発生を防いでくれものではない。

100%の対策はできないのだから、ある程度のところで諦めの精神が必要かもしれない。

 

日本は医療の面で本当に恵まれている。

健康保険に加入していれば、たいていの病気やケガの治療は3割負担で診てもらえるし、薬だって処方箋があれば3割で手に入る。

病院の待合室が賑わっているのも納得だ。

他に一年中いつでも7割引のセールをしている店があるだろうか?

年間で1,000万円もするガンの治療薬オプジーボの投薬でさえ例外ではない。

 

医療費の自己負担を大幅に軽減できる高額療養費制度。

普通診療でもかなり高度な医療を選択できるのが、日本の公的保険の強みである。

とはいえ、たとえ自己負担が3割でも手術や入院となれば費用はかさむ。

いくら3割といえど治療費の総額が100万円に膨らめば、自己負担額は30万円…

とても気軽に出せるものではない。

そこで活用したいのが高額療養費制度だ。

1ヶ月にかかる医療費に上限を設けることで、誰もが安心して治療に専念することができる仕組みである。

収入によって人それぞれ負担額が違うので、あらかじめ自分がどの程度までカバーされるのか一覧で確認しておきたい。

※直近12ヶ月の間に3回以上高額療養費制度の対象になっていると4回目以降はさらに負担が軽減される。

 

例えば年収400万円の人が1ヶ月間(1日〜月末まで)に総額100万円の医療を受けた場合だと、

本来30万円も支払わなければならないところ、

上記の計算式に当てはめると80,100円+(1,000,000円−267,000円)×1%となり、

わずか87,430円の自己負担で済む。

高額療養費制度は家族間で合算もできる!

同一世帯で1ヶ月に21,000円以上の自己負担が複数ある場合は、合計を計算したうえで限度額を超えた額が合算高額療養費として支給される。

 

大企業に勤めている人はさらに軽減されるケースも!

会社員が加入している健康保険には大きく分けて次の2つ。

・大企業に多い組合健保・・・組合ごとに自主運営

・中小企業に多い協会けんぽ(全国健康保険協会)・・・都道府県単位で運営

ここでは細かい違いの説明は省略するが、主に大企業が独自に運営している健康組合に加入している場合は「付加給付」という特典が設けられているケースが多い。

 

たとえば先ほどの例で100万円の医療費がかかったケースでは、高額療養費制度を活用すると1ヶ月の自己負担額を87,430円にまで抑えることができた。

これだけでも総医療費からすれば1割以下になっているので十分安い。

ここからさらに付加給付が加わるとどうなるのか見ていこう。

窓口での自己負担額に対し、後日医療費が還元され最終的な手出しは50,030円にまで軽減された。

この付加給付による還元額は組合によってかなり差があるため、各自でしっかりと確認してほしい。

 

いずれにしろあなたが日本にいる限り、医療費に対する過度な不安は持たなくていい。

減税:高額治療を受けたら医療費控除を忘れず申請。

万が一病気や怪我で治療費が高額になった場合、税金が安くなる可能性もある。

医療費控除といい、その年の所得金額から一定額を控除することができる制度だ。

1年間の医療費(実費)が10万円を超えた場合に適用される。

控除額=(医療費の支出額−保険金などによる補填額)−10万円

※ただし控除の限度額は200万円まで

またここでの医療費とは診察・治療の費用だけに限らず、次のものも対象となる。

・病院までの交通費(電車やバスなど公共交通機関のみ)

・治療に必要な医薬品の代金

・出産にかかる費用(妊娠後の定期検診や検査など)

所得控除のポイントは確定申告の際、控除額がそのまま減税される訳ではないため所得税の還付はあまり大きくないが、翌年の住民税も安くなる点は注目だ。

また税率の高い高所得者ほど減税効果は大きくなる。

 

注意点としては民間保険から入院費や手術費などの給付があった場合、それらを引いた額が10万円を超えていなければ制度の対象とはならない。

 

確定申告には必ずしも領収書を添付する必要はないが、金額を把握しておかなければならないため、明細や領収書はしっかり保管しておきたい。

・当年の所得税が還付され、翌年の住民税が軽減される

・同一の家計内なら合算も可能

・所得金額が高い人ほど減税効果が大きい

 

高額になりがちな就業不能保険は見直すべきだ

病気や怪我で働けない期間、勤めている会社からの給与支払いはストップする。

私は会社の倒産で収入が0になった経験があるが、無収入はたとえ1ヶ月でも家計には大打撃である。

収入がなくても生活に必要なお金は変わらない。

そこで最近人気なのが就業不能保険。

病気や怪我で入院で長期間働けない状態が続いたら、毎月年金のように給付金が受け取れる保険商品だ。

条件を満たせば、仕事に復帰できるまで無期限に給付されるため、安心感は大きい。

しかしこの保険、入る前によく考えてほしい。

たとえばライフネット生命でシミュレーションしてみると、31歳男性で給付金を20万円/月に設定した場合、月々の保険料は5,298円となる。

保険料がずっと上がらない点を考慮するとそこそこリーズナブルな料金ではあるが、果たして給付要件に該当する可能性はどれくらいあるのだろうか?

この就業不能保険には働けない状態になってから60日間または180日間という支払い対象外期間が設けられている。(60日に設定したほうが保険料は高い)

つまり入院や自宅療養が少なくとも約2ヶ月以上必要となり、その後も復帰が見込めない場合にようやく給付の対象となるのだ。

医療技術の進んだ今の日本でそれほど長期の入院を医師が判断するケースはまれである。

参考までに厚生労働省の統計データを示しておくと、平均60日以上の入院が必要なケースはごくわずかしか見当たらない。

それも給付対象外であるうつ病や統合失調症などの精神疾患ばかりだ。

参考元:厚生労働省「退院患者の平均在院日数」

 

なお余談だが、私のように会社からの給与の未払いはもちろん給付の対象外である。

 

したがって就業不能保険が保険会社にとって素晴らしい商品に間違いないが、あなたの人生に起こりうるリスクへの対策としては効果は薄い。

毎月保険料を捨てるくらいなら貯金や投資に回したほうがずっとマシだ。

 

休職中の収入をカバーする労災保険と傷病手当金

案外知らない人も多いが、会社員なら病気や怪我で働けない間の収入は2つの公的保障によってある程度カバーされている。

それが労災保険の休業給付健康保険の傷病手当金だ。

それぞれの違いを順に見ていこう。

労災保険による休業(補償)給付

給付条件・・・①仕事中や通勤時のケガ、仕事が原因で病気になった場合

②療養のため働くことができない(要:医師の診断)

③会社から給与が支給されていない

④3日間の待機期間を満了している

給付金額・・・給与のおよそ80%

給付期間・・・休業4日目〜復帰まで期限の定めなし(3日目までは会社が給付)

企業に属していれば正社員に限らず、アルバイトや派遣社員まで全員が加入しているのが労災保険。

保険料は100%会社負担なので、給付は仕事や通勤途中の災害に限定されるが、その分保障は手厚い。

労災保険の対象になれば治療費が全額カバーされるだけでなく、休業中の収入も次のように高い水準で補償される。

休業補償給付・・・給付基礎日額の60%×休業日数

休業特別支給金・・・給付基礎日額の20%×休業日数

※給付基礎日額とは直近3ヶ月間の給与総額÷その期間の歴日数

労災保険では働けなくなって4日目から給付の対象となるが、3日目までの分は休業補償給付にあたる60%を会社が給付する決まりになっている。

(ただし通勤途中でのケガには会社から給付されない可能性もある)

 

例えば月給30万円の会社員が30日間、働けなくなった場合……

まず給付基礎日額は・・・30万円×3ヶ月÷90日=1万円

労災保険分・・・{1万円×(60%+20%)}×(30日−3日)=216,000円

会社負担分・・・1万円×60%×3日=18,000円

合計・・・216,000円+18,000円=234,000円

給付額は本来もらえる額の8割程度にとどまるが、全額が非課税所得として扱われるため、実質的にほぼ満額近い給付水準となる。

また給付期間に期限はないが、療養開始から1年6ヶ月が経過すると傷病の状況によって労災保険から障害年金に切り替わることもある。

 

 

続いて仕事以外の原因で働けなくなった場合について解説していく。

健康保険による傷病手当金

給付条件・・・①仕事以外の原因で病気やケガになった場合。

②療養のため働くことができない(要:医師の診断)

③休業期間中、給与が支払われていない。

④3日間の待機期間を超えて休業している。

給付金額・・・標準報酬月額の2/3 ※例外あり

給付期間・・・休業4日目〜180日間 ※例外あり

※連続3日間の休業(待機完成)後、支給開始。

労災保険に比べると補償の面でやや見劣りするが、仕事以外の理由で働けなくなった場合にも給付が受けられる制度として、会社員なら必ずおさえておきたい。

この傷病手当金には会社からも保険からも給付金がもらえない3日間の待機期間があり、連続で3日間仕事を休む(公休日も含めてよい)とようやく4日目から支給が開始される。

ただし待機期間は仕事を休みさえすればいいので、収入を少しでも維持したいなら有給休暇を充てても構わない。

待機完成後は休業日数に応じて手当が支給されるが、算定の基準となる給付日額には標準報酬月額を用いる。

傷病手当金の給付日額

直近12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30日×2/3

 

※保加入期間が12ヶ月未満の場合は次のいずれか低い方をもとに日額を算出する

①直近の継続した各月の標準報酬月額の平均

②加入している保険組合の前年度9月30日時点での全加入者の月額平均額

 

たとえば標準報酬月額の平均が30万円の会社員が30日間働けなくなった場合…….

まず給付基礎日額は・・・30万円÷30日×2/3=6,000円

傷病手当金は6,000円×(30日−3日)=162,000円

こちらも労災保険と同様に非課税所得ではあるが、給付率が6割程度にまで下がるため、やや生活水準は厳しくなる可能性も否めない。

 

が、加入している保険組合によっては療養中の傷病手当金についても付加給付が受けられる可能性もある。

もしあなたが大企業にお勤めならぜひチェックしてほしい。

引用:パナソニック健康保険組合

 

運営が上手くいっている保険組合の中には付加給付といって、法律で決められた基準よりも高い給付を行っていることもある。

1つの例だが上のパナソニック健康保険組合では傷病手当金の給付額が60%→85%、さらに給付期間が最長1年6ヶ月→2年間となっている。(2019年現在)

なかには給付期間延長のみ、付加金のみなど様々なので個々に確認しておきたい。

 

もしもの時の不足額がわかった上で民間の保険を検討するのも悪くない。

入院日額5,000円の保障なら月々2,000円ほどの保険料で加入できることもある。

たとえばオリックス生命の医療保険「新キュア」だと、31歳・男性の私なら毎月1,580円で保険料は生涯ずっと変わらない。

このくらいなら生活を圧迫することなく、万一の備えができるのではないだろうか。

「オリックス生命」医療保険について詳しくははこちら

とはいえ保険はなるべく必要最小限にとどめ、固定費を抑えるのが望ましい。

給与以外の収入源を確保したり、当面の収入減でも持ち堪えられるようコツコツ貯蓄することこそ、1番のリスク回避につながるはずだ。