こんにちは、こーじんです。
今回も引き続き会社が倒産した時のお話です。
前回の記事では倒産する可能性が高い会社の特徴をご紹介しましたが、今回はじゃあ本当に潰れてしまったら残された従業員はどうなるの?というのがテーマです。
経験者の立場から言うと勤めている会社が倒産すると経済的な面はもちろん、様々な労力や精神的ダメージを負うことになります。
できることなら潰れる前に上手く転職したいところですが、現実的には
・会社の経営難に気づけなかった、予想より早く破綻してしまった。
・立場上、最後まで残るしかなかった。
などの理由で逃げ遅れることもあるでしょう。
そこで今回は会社が潰れると従業員に起こること、そして真っ先に取るべき行動をご紹介していきます。
Contents
倒産により解雇された社員はどうなる?
会社を解雇されて何より不安なのは給与・退職金をはじめとする金銭面の心配ですよね。
当てにしていた収入が突然ストップすると生活に直結するので死活問題です。
ここでは項目順に1つずつもらえるのか、解説していきます。
1.未払いの給与・退職金はどうなる?
会社が資金不足で倒産した場合、ほぼ確実に給与の未払いが起こります。
私は給料日の前日に突然、会社から支払う能力がないと告げられ青ざめた経験があります。
ちょうど月初に自分へのご褒美として35万円の腕時計を買ったばかり…初めてクレジットカードの恐ろしさを知りました。。。
さてそんな未払いの給与ですが、結論から言えば時間はかかるがある程度は払ってもらえると考えて大丈夫です。
その理由の1つが従業員の給与は「労働債権」といい破産した企業の資産を分配する時に、比較的優先順位の高い債権になるからです。
大雑把ですが、破産後の債権の分配される順位を次のようにまとめてみました。
①抵当権付き債権
②管財人に支払う報酬や各種費用
③未払いの税金・社会保険料
④未払いの賃金・退職金など(ボーナスは除く)
⑤売掛金などの一般債権
とはいえ実際のところ、破産するような企業には十分な資金が残っていなく、賃金の分配が十分にできないことがほとんどです。
なぜなら資金繰りが危ない時点で、ほとんどの不動産には銀行の抵当権が設定されており、現金も残っていないギリギリの状態であることが通常だからです。
ですが諦めるのはまだ早いです。
実はちゃんとした会社に勤めている場合、労働者健康安全機構による立替払い制度を活用することができます。
条件はありますが、申請することで未払い賃金・退職金の最大8割まで受け取ることができるんです。
ただし受け取れるまでには数か月から数年かかることもありますので、最低でも向こう3ヶ月くらいの生活資金は準備しておくことが大切です。
2.業務で使った経費の立替金
出張で新幹線やホテルを利用した、業務上必要な備品を購入したなどいったん社員が立て替えて支払い、後で清算するケースはよくありますよね。
営業など外回りが多い職種だとこれらの経費も馬鹿になりません。
会社が倒産した場合、これらの経費を取り返すのは非常に難しいです。
なぜなら次のような理由があるからです。
・領収書のコピーなどが残っていないと正確な金額を把握しづらい。
・破産債権の中でも優先順位が低く(一般債権)、分配するだけの余力がない。
・未払い金の立替制度でも経費等は対象外である。
私も宿泊代や駐車料金など数万円の立替払いをしていましたが、結局精算されることはありませんでした。
一般的には領収書を添えて経理に提出する会社が多いと思いますが、コピーを取っておくなど立替をした証拠を残しておいたほうがいいでしょう。
また会社の経営が危ないなと感じたら、極力立替を控え、可能なら会社から仮払いをお願いするなど予防策を講じるのがおすすめです。
3.財形貯蓄・社内預金はどうなる?
利子の非課税や融資の際に優遇があったりとメリットの多い財形貯蓄や利率の良い社内預金は制度がある会社なら利用している人も多いはず。
これらの預金は会社が倒産した場合、どうなるのでしょうか?
実は財形貯蓄は会社の給与から天引きされるものの、実際に運用しているのは外部の共済機構など公的機関。
会社が倒産してもなくなることはないので安心です。
一方、気をつけたいのは社内預金。
こちらは文字通り、集めたお金を会社が管理・運用するものなので倒産すれば1円も戻らない可能性があります。
もちろん銀行預金のような預金保護法も適用されません。
また破産した場合は一般債権として扱われるため、分配金としての優先順位は低くなります。
利回りがいい反面、リスクがあることは理解しておきましょう。
会社が危ないなと感じたら早めに払い戻しを依頼しておいたほうがいいでしょう。
財形貯蓄・・・倒産しても保護される。
社内預金・・・倒産すると返還されない可能性が高い。
失業後にやるべきことは?
さて失業して何より困るのは当面の生活費の確保ですよね。
特に倒産による解雇の場合、十分な準備をする間もなく収入が途絶えるので大変です。
そこでどんな行動をとるべきなのでしょうか、解説していきます。
1.転職活動を始める
まず最優先で行うのは就職先を見つけることです。
貯蓄にある程度の余裕があればじっくり探すこともできますが、そんな人は少数派です。
できることなら倒産する前、会社が危ないなと感じた頃から動き出したほうがじっくり自分に合った仕事を探すことができます。
すぐに働ける企業に絞ってしまうと選択肢も限られてきます。
実際、企業によっては選考から採用(勤務スタート)まで2~3ヶ月かかることもあるので、早く動き出せばその分無職の期間を短くすることができますよね。
そこで納得のいく企業に出会えれば、早めに退職して給与や退職金を受け取ったほうが未払いのリスクも回避できるので安心ですよね。
2.ハローワークで失業給付の申請をする。
会社が倒産した場合、失業給付はすぐに受け取ることができます。
また年齢にもよりますが、通常の退職に比べ給付日数が長くなるので受給金額が多くなります。
離職票が届いたら1日でも早くハローワークで失業給付の申請をしましょう。
というのも申請から初回給付までは【申請】~7日間の待機~【失業の認定】~28日間~【認定日】~7日前後~【振込】とかなりの日数を要します。
さらに離職票が届くまでの期間を合わせると、2ヶ月ほど無収入が続く点には注意が必要です。
また倒産による解雇の場合、離職票の発行がかなり遅れる可能性もあります。
私の時も離職票が届いたのは、退職日から1ヶ月以上も経ってからでした。
もちろん待っているだけではどんどん支給が遅れてしまうのでお勧めしません。
そんな時は失業手当の仮申請をお願いしましょう。
あまり知られていませんが、離職日から13日間経っても離職票が届かなければ、離職票が手元になくても失業給付の手続きを進めてもらえる制度なんです。
もちろん実際に給付金を受け取るまでには離職票を提出しなければならないですが、手続きを早く始めることによって早期に給付金をもらうことができます。
手続きに必要なものは以下の通りです。
①通帳のコピー(手当が振り込まれる口座のもの)
②印鑑
③マイナンバーカード(通知書でも可)
④証明写真×2枚
⑤会社の倒産または退職が証明できるもの(あれば好ましい)
仮申請を希望する場合、一度管轄のハローワークに電話で確認してみましょう。
面倒なのは⑤つ目の退職の事実を証明できるものです。
会社が倒産して全く退職の手続きが進んでいないとハローワークでも事実確認が取れないため、窓口で押し問答になりがちです。
私は会社が破綻したというニュース記事を見せてゴリ押ししましたが、退職届などコピーを取っておいたほうがいいかもしれません。
またこの仮申請は倒産に限らず、離職票が遅い場合は有効なので覚えておいて損はないです。
3.未払い賃金の立替払い制度を利用する。
未払いの給与・退職金があっても、会社に残された債権の分配には膨大な時間がかかります。
それ以前に、そもそも十分な資金がなく給与にまで回ってこないケースがほとんどです。
少しでも早く受け取るには、労働者健康安全機構の未払い賃金立替払い制度を活用しましょう。
☆立替払いを受けるための条件(全て満たす)☆
・労災保険に1年以上加入している企業に勤めていた人
・破産もしくは事実上の倒産日の6ヶ月前から2年の間に退職した人
・未払い賃金の金額など管財人または労働基準監督署から証明を受けていること
上の条件を満たしていれば未払い金の最大8割までの額を、会社に代わって機構から立替てもらうことが可能です。
ただし、退職時の年齢によっても上限があるため、実際には満額の半分以下しか受け取れないケースもあります。
退職日の年齢が
・45歳以上…上限額296万円
・30歳以上~45歳未満…上限額176万円
・30歳未満…上限額88万円
あくまで立替払いなので後々、会社から未払い給与が支払われた場合には、差額分が相殺される形になります。
4.税金・保険料の減免措置が受けられるケースも
ここまでは収入を確保する手段をご紹介しましたが、収入がなくなった時、支出を抑えることも同じくらい重要です。
大きな買い物は控えるなど出ていくお金を減らす努力をすると同時に、税金・社会保険料の減免にあたるのかも調べてみましょう。
【住民税の減免措置】
税の減免といえば低所得者向けの住民税の非課税措置が有名ですが、生活保護受給者やそれに近い収入の方が対象なので一般的には該当しにくいです。
ですが解雇など特別な事情がある場合、条件により5割免除、7割免除などが適用されることもあります。
条件は住んでいる自治体によって違いますが、代表的なものを挙げると
・前年度の所得金額が400万円以下である。
・所得金額が前年度の1/2以下になった。
などがあるようです。
税金は払えないからといって無視するのが一番よくないので、まずは自治体の担当者に相談してみましょう。
【国民健康保険料の減免措置】
健康保険料も前年の所得に応じて金額が算出されますが、倒産による解雇の場合なら離職日の翌日から翌年度末までの期間について、前年の所得を30/100として算出することが可能です。
細かい条件はやはり自治体ごとに基準が異なるので、まずは担当者に確認を取るべきでしょう。
【国民年金保険料の減免措置】
国民年金保険料についても経済事情により、延納や減額などの措置は可能です。
ただし住民税や国民健康保険料と違い、国民年金保険料を減額してしまうと将来自分が受け取る年金額の評価まで下げることにつながります。
なるべくなら満額支払い、延納する場合でも後からきちんと納付したほうがいいでしょう。
また無連絡で未納にしておくと督促状が届きますので注意が必要です(経験談)。
いかがでしたでしょうか?
倒産なんて考えたくはない事ですが、いざという時に慌てるこtとがないよう準備しておくかどうかで大きな差が出ますよね。
ちょっと怪しいなと思ったら早めの転職活動を始めるのも1つの対策ですし、日頃からお金のことを勉強したり、何か資格を取得するのも自分を守る力になります。
会社に依存しすぎるのではなく、いつでも独立できるよう、転職できるよう力をつけておくことは絶対損にならないので、少しずつできることから始めていきたいですね。